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2016年01月17日

【開催中】下川まち子 布アート展

みなさん、こんにちはface01
2016年最初のわたむきブログです。
この間新年を迎えたと思ったら、
あっという間に仕事始め、
あっという間に成人式、
そしてあっという間に1月も後半です。
もういつもと一緒の日常が
スタートしてはいるのですが
新年の新鮮な気配がまだ生きているうちに
今年をいったいどんな年にしたいか、
思い巡らせておきたいですよね。

さて、わたむきホール虹美術ギャラリーの話題です。
2016年の美術ギャラリーは
「自由」ということについて考えたくなる
こんな展覧会からスタートしています。

下川まち子 布アート展
~身近な布や糸を
思うままに表現~

1月15日(金)~1月31日(日)

【開催中】下川まち子 布アート展


草津市にお住まいの作家
下川まち子さんによる「布アート」展です。
下川さんのお写真です。

【開催中】下川まち子 布アート展


「布アート」とは、下川さんがご自身の
手の動くままに制作した作品群による
独自のジャンルだそうです。
作品には、布と針と糸でできるあらゆる手法
パッチワーク、キルティング、ステッチ、染色・・・などが取り入れられています。

そしてまさに
“独自のジャンル”ということこそが
下川さんという作家、
そしてその作品世界にふれるための
キーワードのようです。


(下川さん)「これはもう、完全オリジナルで・・・。
先生もいないんです。
最初はね、ちゃんと勉強しようと思って、
パッチワークやキルトの教室に通ったんですけど、
私、型にはまったことがどうしてもできなくて。
子どもの頃から何をしても怒られていたんです」

【開催中】下川まち子 布アート展


―パッチワークは、布を決まった形につないで
モチーフを作る方法が一般的ですよね・・・。


「それが全然できなくて。
9つの教室に通ったんですけど、
みんなダメでした。
怒られたり・・・ある先生からは
“自分はあなたに何も教えることができなかった。
申し訳ない”と言っていただいたり(笑)」



もともとは絵を描いていたという下川さん。
20年ほど前、通っていた絵の教室のお稽古用カバンに下川さんが刺繍をしていたのを
隣にいた人が見て
“あなたは絵よりこっちの方がいい”
と言ったことから、
下川さんは布の世界に歩みだします。

【開催中】下川まち子 布アート展


ところで下川さんが言われる、
「型にはまったことができない」とは、
具体的にはどういうことを指すのでしょう。


「私の作品には、型紙がありません。
下絵も描かないです。
布を裁つところからフリー。
気が向いたままにやっているので、
同じものは2度とできません」


―大きな作品が多いですけれど、
あらかじめの完成図みたいなものは・・・?


「ないです。もう本当に・・・何も考えないでやっていて(笑)」


“気が向いたまま”の作品づくりには
人に説明できるセオリーがないので
たとえばワークショップを頼まれても
引き受けることができない、のだそうです。


「たとえばこれなんかはね・・・」

【開催中】下川まち子 布アート展


「この手の形のところは、
そうめんの箱の板や、画板なんかを使って
自分で織ったんですね。
網状のところは、かぎ針で編みました」


【開催中】下川まち子 布アート展
(「わからないから見よう見まねで織った」のが布地の部分。「見かねたある方が機織り機をくれました(笑)」)

「で、この部分は染めてみようかなと思って
また自分で染色しているんです」


【開催中】下川まち子 布アート展


「この作品自体は
完成までに1年ぐらいかかりましたね」


―これだけの作品を作られるときでも
やはりその、完成図は・・・。



「ありません(笑)
とにかく手の動くとおり、手ばっかり。
針と糸を持ったら、
“あ、ここはこうしてみよう”という風に
どんどん変化していくんです」




下川さんの作品を眺めていると、
何かのアイデアが形になるときの喜びと刺激、
わくわくする感じそのもの、が
布と糸と針を使って形にされているように
見えてきます。

【開催中】下川まち子 布アート展


“本当にやり方がめちゃくちゃで、
怒られてばっかり”
と言われる
下川さんですが、
下川さんの作品群が放つ魅力には
「アート」が本来の役割として担っている、
かけがえのないことが宿っていると
感じられてなりません。




下川さんの作品のモチーフとして
会場でも目を引くのが「手」。
手をモチーフにした下の作品は
2003年に開催された、
第57回滋賀県美術展覧会のポスターに
採用されています。

【開催中】下川まち子 布アート展

【開催中】下川まち子 布アート展


なぜ、「手」をモチーフにされるのですか、
という質問に、下川さんは

「人と同じモチーフがいやだったんです。
自分の手は世界にひとつしかないので」


そして、こんなエピソードを話してくださいました。

「ある展示のときに、乳母車にのった赤ちゃんが
私の作品の手に、自分の手を重ねてくれたんです。
そのときにね、こう
『私もやっていけるかな』と思って」


【開催中】下川まち子 布アート展




下川さんはご自身の作品に対して
「意味」を説明されることがありません。
作品を埋めつくすような「手」をどう感じるかは
すべて鑑賞者の心に委ねられています。


しかし、会場にある作品のすべては
布の裁断、縫いつけ、施された細かいステッチ、
ときには染色や布を織ることにいたるまで、
下川さんの「手」による膨大な仕事から
生み出されたという事実は
モチーフの「手」の印象にも、
自然に重なるように思われます。

【開催中】下川まち子 布アート展


「手」は人間の創造性に直結していて、
こんなにもエネルギーにあふれ、
自由に全てを作り出せる。

そんなことを実感できる素敵な展覧会です。
ぜひ、会場にて直接、
下川さんの作品のエネルギーにふれてみてください。

(1月19日(火)・26日(火)は休館日です)


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Posted by わたむきホール虹 at 13:40│Comments(0)美術ギャラリー
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