【開催中】村田 秀穂 水墨画展
みなさん、こんにちは
時々雨に降られたりはしますが、
基本的にいいお天気にたくさん恵まれる5月です。
空は青いし、緑はきれいで、気温はちょうどいい。
GWは終わりましたが、お休みの日にはまだまだ
近くでのお出かけを楽しみたい気持ちになります。
こちら日野町も見どころがいろいろ
有名な石楠花や藤の花の季節が終わっても
これからはブルーメの丘のバラの花や、
雲迎寺さんの見事なサツキが
次々に見ごろを迎えます。
ぜひ日野町で、素敵な休日を過ごしてください!
さて、外でのお散歩を楽しまれた後は、
わたむきホール虹へもお立ち寄りくださいね。
美術ギャラリーにて新しい展覧会が始まりました。
村田 秀穂 水墨画展
~豊かな自然に恵まれ
感謝しながら・・・~
5月9日(土)~5月24日(日)
琵琶湖の西、高島市に居を構え
もう40年以上も水墨画を描き続けてこられた
画家、村田秀穂さんの展覧会です。
村田さんのお写真はこちらです。
また、今回の展覧会では、
日野町在住の水墨画家、野中南絢さんの作品も
賛助出品として展示されています。
会場に飾られた村田さんの画に見入ると、
心がしんと静かになります。
けれどもそれは決して淋しい感覚ではなく
静寂の中に、草木の気配のように柔らかで
豊かなものがたくさん息づいている、
といった印象を受けます。
作者の村田さんに、
ご自身の作品についてお話を伺いました。
―作品を見せて頂くと、画に宿っている「気配」
のようなものが、とても印象に残ります―
(村田さん)「そうですね、私はあまり
強烈な印象の画ではなく、
どちらかといえば穏やかな、
幻想的なもの、神秘的なものを描きたいと
思っています。
それから、墨の濃淡を大事に描きたいと」
―墨の濃淡・・・水墨画をなさる方は必ず
そのことを仰いますね―
「ええ。墨の濃淡を大事にというのは、
水墨画をやる人の使命だと思っています」
水墨画という手法では、
例えばそこに山があること、
水が流れていること、
その水の流れは粗いのか、穏やかなのか
風景の季節は夏なのか、冬なのか、
というところまで、全てを
“墨の濃淡”だけで表現します。
改めて考えるとすごいことだと思います。
その、墨の濃淡の世界の中で
今回ひときわ目につくのが、
琵琶湖の姿が描かれている作品です。
「この画は春雪の、芽吹きの頃の風景ですね。
私の家の近くの、安曇川岬から伊吹山を見た
画なんです」
―こんなに琵琶湖と伊吹山が綺麗に見える景色が
あるのですか!-
「ええ、ここはとても伊吹山が綺麗に見えますね。
ありがたいことです。
ここは私の一番好きな場所です。
安曇川から新旭にかけての場所なんですが」
「この、左側にあるのは柳の古木でして、
柳の古木と、母なる湖がそこにある。
この柳は葉っぱをたくさんつけるんですが
寒い時期に葉っぱを落とした姿が
気高く見えるんですね」
―私達は琵琶湖を知っていますので、
この画を見たときに「ああ、琵琶湖だな」と
わかる感じがあります。
もし、なんの予備知識もなくこの画を見たとしても
「海」を描いた画だとは思わない気がします―
「なかなか厳しい見方をなさっていると思います(笑)
そうです。海に見えてはいけないんです。
この画は、琵琶湖を描こうと思って
“母なる湖”なんてタイトルをつけてね。
画の前にタイトルを先に考えたものだから
画がなかなかうまくいかなくて
何枚も描いては失敗しました」
村田さんは、お話の端々で
琵琶湖をこのように形容されます。
“全てのものを育んでいる、あまりにも大きな存在”
“琵琶湖が一体どれだけの人を
楽しませているのかと思うと・・・”
“「マザーレイク」という言葉は、いったい
誰が考えられたのか。まさにその通りだと思う”
県の西北にある高島で、原風景とも呼べる
琵琶湖の美しい姿に接してこられた村田さんの
心象風景を垣間見るような言葉です。
展示作品の中心は琵琶湖をはじめとする
滋賀県の風景を描いた画ですが、
それ以外の場所を描いたものも数点、
出品されています。
「剱岳(つるぎだけ)です。立山の」
―映画にもなった、あの剱岳ですね。―
「こんな厳しい山はない、と言われる山です。
今まで何人遭難しているかわからない。
はしごや鎖を使って登るしかない所が
いくつもあるそうです」
「どんな風に描いたら怖く見えるかと思いました。
岳にはあらゆる方面から風が吹いています。
その風を画に入れたんです」
日本海からの風が、鋭い剱岳の先鋒に
人間が触れることをかたく拒んでいます。
先程の“琵琶湖”と、正反対の性格を持つ剣岳ですが
村田さんにとってはやはり剱岳も
“画を描くものとして憧れ”の対象なのだそうです。
再び湖西地方を描いた画へ戻ります。
村田さんは、ご自身の画を紹介されるとき
「こういう自然を残さなければなりませんね」
「こういう風景を残していかないといけないです」
そんな一言を、最後に添えられていました。
―やはり湖西にお住まいですと、
画にお描きになられているような風景が
だんだんなくなっていくことを、
肌でお感じになりますか―
「それはもう・・・。やはり若い人たちの
働く場所が、という問題がね。
働いて、子どもを育てていく環境となると
若い人たちがどんどん外に出てしまいますから。
例えば、こういう集落(の存続)が危ないですよ」
また、こうも言われました。
「滋賀県は、自然に恵まれています。
自然が美しくて、穏やかで、住みやすくて
どなたも憧れる県だと思います。
何も遠くの場所を描くことはありません。
水墨画であろうと、油絵や水彩であろうと、
滋賀県で画を描く者は、滋賀県の風景を
大切に描いていく必要があります」
村田さんにお話をお伺いした印象で
とてもはっきりとしていたことは
ご自身の画の技術的なことや
ご自身が画に込められた「想い」のようなことは
ほぼ全く話されず、
お話しになっていたことのほとんどは
画に描かれた風景が、いかにかけがえのない
大切なものかについてだった、
と、いうことです。
その対象を美しいと思い、
とても大切に思うから
きっと人は何かを画に描きたくなる。
村田さんが話されることは全て、
その単純で重要な核心だけを
示されているかのようでした。
最後に、これから会場へいらっしゃる方に向けて
村田さんより一言、メッセージを
頂きました。
「スケジュールの間で時間が取れましたら
土日はできるかぎり、ギャラリーの方へ
来させて頂こうと思います」
ぜひ、美しい画を眺めながら、
村田さんに琵琶湖や湖西の里山についての
お話をお聞きになってみてください。
その後、季節のいいこの時期に、
実際に琵琶湖まで足を伸ばされてみては
いかがでしょうか。
よく知っているはずの景色が、
心に深くしみこんでくるのを感じられるかも
しれません。
(賛助出品の野中南絢さんの作風は、村田さんとはまた個性の異なる、男性的な力強さをもったもの。筆の使い方や墨の濃淡の生かし方の違いを見てみてください)
(5月19日(火)は休館日です)
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