【開催中】樫野豊子 書道展

わたむきホール虹

2015年12月16日 13:06

みなさん、こんにちは
気がつけば、今年も残りあとわずかです。
四季の変化がある日本では、
季節ごとの楽しみや行事を追いかけるうち
あっという間に1年が終わってしまう感じが
しますね(私だけでしょうか?)。
とりわけ年末年始の準備に大忙しな12月。
気持ちが落ち着く余裕がない・・・とお思いの方に
ぜひおすすめしたい展覧会が、
美術ギャラリーにて始まっています。

樫野豊子 書道展
~古典の文字を大切にしながら
 書のあるくらしを・・・~

12月10日(木)~12月28日(月)




30年をこえる書道講師歴を持ち、
現在は竜王町に拠点を構え、
多くの生徒さんに書の楽しさを伝えて
いらっしゃる書道家
樫野豊子さんの展覧会です。

また、今回は特別に
華道家、戸田幸月(さつき)さんによる
いけ花が会場に彩りを添えています。


(こちらに使われている花は テッポウユリ、グロリオサ、ピンポンマム、ヤマジノギク、ヤツデ、シャガ、枝物はヤマニシキギ だそうです)


お二人のお写真はこちら。


(右側が樫野さん、左側が戸田さんです)


スタッフの私が堂々と言うのも何なのですが
当わたむき美術ギャラリーは、
ギャラリースペースとして、
それほど広い空間ではありません。


しかし、そんなわたむきのギャラリーで
たっぷりいろいろなものを見たと
きっとお感じいただけるぐらい
樫野さんの作品に彩られた空間は
バラエティと楽しさに
満ちています。


今回の展示について
樫野さんにお話を伺いました。


-本当に様々な形の作品があって
 ・・・何だか楽しいですね。

(樫野さん)「今回は“日本の四季”という
コーナーを設けさせていただいたんですけれど、
好きな書体で春夏秋冬を表現してみたんです」



(「日本の四季」のコーナーの一部。貝殻や巻紙に字や画がしたためられています)


「これなんかは、パッチワークの布を
利用しているんですよ」

 



「“雪”と“霜”の感じを表現しようと思って、
 そしたら、私はパッチワークをやるんですが、
 その布があったのでね。
『これは使えるんじゃないか』って。
 “雪”にはパッチワークの芯綿も使っています」
 

 

“書のあるくらしを”という題名のついた
今回の樫野さんの展示。
“くらし”という言葉からは
やはり女性からの視点
女性ならではの細やかなアイデア、などの
イメージが浮かんできます。






―可愛いですね。ウサギですか。

「これはね、“ゆっくり”という言葉を
自分自身に言い聞かせているんです(笑)
ウサギの画に“ゆっくり”と書くことに
意味があって。
ひとつ、生活の裏打ちとして
こういう言葉を書にして
身の回りに置いておこうと」



“生活の裏打ち”という言葉に
思わず少し姿勢を正したくなる清潔さを
感じます。
しかし、そう仰る樫野さんの表情と、
作品の印象は
あくまで豊かで柔らかです。


自分の手で何かを作ることが好きな方や
生活に彩りや工夫を常に添えていたいと
思われている方に
樫野さんの提示される書画の形は
「書道は難しそうだけど、
私も真似してみたい」

魅力的に感じられるのではないでしょうか。




しかし、樫野さんの世界は
これだけではありません。
古典を敬い、古典に学ぶ。
受け継がれてきた書画の美しさを
ご自身の手でまた世に伝えていくという
書道家としての姿を
感じられる作品がこちらです。




手前にあるのは、
2巻の巻物の形で書かれた「鳥獣戯画」。


「来年が申(さる)年なので
“鳥獣戯画”の臨書(りんしょ=模写のこと)に
挑戦してみたんです」



(実際の鳥獣戯画には、紙の継ぎ目に赤い刻印が押されているそう。この臨書では、樫野さんがご自身で刻印を作られたのだそうです)








そして鳥獣戯画の奥にある巻物は
「古今和歌集」です。
かな文字のあまりにも繊細な美しさに
見とれてしまいます。

「お習字はやはり
“最後はかな”だと言われています。
かな文字の良さ、女性の手のことを
考えて生まれてきた字だということ・・・」



こんな柔らかな文字で
恋の歌や、風景の美しさを詠んだ歌が
やりとりされていた時代が
実際にあったことをあらためて思うと
どこかうらやましいような気持ちになります。


「ずっと堅いものをやってきて、最近は
ちょっとだけ余裕ができたのかもしれない」

そう仰る樫野さん。
心を澄ませて古典の世界に向き合うことも
異なるジャンルのものからインスパイアされて
書に新しいアイデアを取り入れることも
どちらも今の樫野さんにとっては
豊かで充実した制作活動のようです。







何よりお話をされる樫野さんの雰囲気と表情が
とても華やかで柔らかく
書道家としても、女性としても
今、人生の最も豊かな実りの時期を
迎えていらっしゃることを感じました。




見ているだけで心愉しくなる展覧会です。
また、樫野さんご本人も、
12月18日(木)以降は、休館日を除き
ほぼ毎日在廊される予定です。
ぜひ一度、会場にいらしていただき
樫野さんのお話とともに、
美しい書画、そしてお花をお楽しみください。



(12月22日(火)24日(木)は休館日です)


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