【開催中】蛯沢博行 写真と映像・彫刻展(2)

わたむきホール虹

2013年06月27日 17:25

こんにちは

前回のブログの続きです。

青森のリンゴ農家の方々とふくろうの関係、
蛯沢さんは、そのどんなところに
惹きつけられたのでしょうか。


(ブロンズに見えますが実は「紙」で出来ています。
「足の上に落ちても痛くないよ」と、蛯沢さん)


リンゴ農家の人たちは、古いリンゴの木を
伐らずに残しておいたりする。
倒れないようにつっかえ棒したりしてね。
古い木は、実も少ないし、本当は邪魔なんだ。
でも、ふくろうが住み着くための
“うろ”(※=穴)があるから


―それは、ふくろうを“守ろうと”してですか?

うーん、“守る”というよりも、
単調な農作業の合間に、
ふくろうが来るのがうれしいんだろうね。
あえて何かしてるわけじゃなくて、
古い木を伐らないだけのことだから



(古いリンゴの枝を利用し、彫られた小さな彫刻。とてもかわいい!)

自然を撮影するカメラマンの蛯沢さん。
「自然か、人か」、その2つの間で引き裂かれがちな
環境問題について、蛯沢さんのまなざしは
とてもやわらかです。

昔、リンゴ栽培が青森の気候に
適していることがわかり、
里山を切り開いてリンゴを植えたら、
ふくろうが激減した。
ところが、畑にするのに土地を平らにしたことで、
ハタネズミが増え、それを食べるふくろうがまた
戻ってきたんだ。
どちらも、人間が生きるためにしたことで、
ふくろうのためを考えたんじゃないんだけど。
ふくろうだってしたたかだよ。
生きるチャンスを窺ってるんだ


「人が自然を守る」というよりも、
人の営みも生態系の大きなつながりの一部に、
本当は組み込まれているのでしょう。
「人と自然の折り合うところ」
それを見つめるのが好きなんです、と
蛯沢さんは仰います。

そんな蛯沢さんが撮りためた写真や映像、
そして、「写真撮るのと違って欲がない」気持ちで
作られたたくさんのふくろうたちの像は、
この時代に生きる私たちの心に
大きな深呼吸をさせてくれるような気がします。

来た人が、のんびりした気持ちになれるといいなあ
そう仰る蛯沢さん。
ぜひ、期間中に足をお運びいただき、
蛯沢さんの見た自然と動物のお話に、
耳を傾けてみてください。
(7月2日(火) 5日(金) 9日(火)は休館日です)


(お世話になったリンゴ農家さんとのつながりで生まれたものたち。
リンゴを保護するネットに、ふくろうが入ったかわいい作品も)






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