【開催中】蛯沢博行 写真と映像・彫刻展(2)
こんにちは
前回のブログの続きです。
青森のリンゴ農家の方々とふくろうの関係、
蛯沢さんは、そのどんなところに
惹きつけられたのでしょうか。
(ブロンズに見えますが実は「紙」で出来ています。
「足の上に落ちても痛くないよ」と、蛯沢さん)
「
リンゴ農家の人たちは、古いリンゴの木を
伐らずに残しておいたりする。
倒れないようにつっかえ棒したりしてね。
古い木は、実も少ないし、本当は邪魔なんだ。
でも、ふくろうが住み着くための
“うろ”(※=穴)があるから」
―それは、ふくろうを“守ろうと”してですか?
「
うーん、“守る”というよりも、
単調な農作業の合間に、
ふくろうが来るのがうれしいんだろうね。
あえて何かしてるわけじゃなくて、
古い木を伐らないだけのことだから」
(古いリンゴの枝を利用し、彫られた小さな彫刻。とてもかわいい!)
自然を撮影するカメラマンの蛯沢さん。
「自然か、人か」、その2つの間で引き裂かれがちな
環境問題について、蛯沢さんのまなざしは
とてもやわらかです。
「
昔、リンゴ栽培が青森の気候に
適していることがわかり、
里山を切り開いてリンゴを植えたら、
ふくろうが激減した。
ところが、畑にするのに土地を平らにしたことで、
ハタネズミが増え、それを食べるふくろうがまた
戻ってきたんだ。
どちらも、人間が生きるためにしたことで、
ふくろうのためを考えたんじゃないんだけど。
ふくろうだってしたたかだよ。
生きるチャンスを窺ってるんだ」
「人が自然を守る」というよりも、
人の営みも生態系の大きなつながりの一部に、
本当は組み込まれているのでしょう。
「人と自然の折り合うところ」
それを見つめるのが好きなんです、と
蛯沢さんは仰います。
そんな蛯沢さんが撮りためた写真や映像、
そして、「写真撮るのと違って欲がない」気持ちで
作られたたくさんのふくろうたちの像は、
この時代に生きる私たちの心に
大きな深呼吸をさせてくれるような気がします。
「
来た人が、のんびりした気持ちになれるといいなあ」
そう仰る蛯沢さん。
ぜひ、期間中に足をお運びいただき、
蛯沢さんの見た自然と動物のお話に、
耳を傾けてみてください。
(7月2日(火) 5日(金) 9日(火)は休館日です)
(お世話になったリンゴ農家さんとのつながりで生まれたものたち。
リンゴを保護するネットに、ふくろうが入ったかわいい作品も)
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