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【日野町町民会館わたむきホール虹】を
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 › わたむきホール虹ブログ › 2014年02月28日

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Posted by 滋賀咲くブログ at

2014年02月28日

【開催中】小泉 広明 洋画展

みなさん、こんにちはface01
とにかくドラマチックだったソチ五輪が終わり、
「次は何を楽しみにしようかな~kao08」とお考えなら、
ひとまずわたむきホール虹においでください!
美術ギャラリーにて、新しい展示が始まりましたよ。

小泉 広明 洋画展
~心象風景を中心にした
     洋画の作品展~

2月27日(木)~3月16日(日)





まず、今回の作家、小泉広明さんはこの方です。




大津市出身、1967年生まれ。
40代の画家である小泉さんの絵の世界には
ある登場人物が存在します。
それが、このキャラクター。



顔を布で覆い、
よく見ると袖から出ているはずの手がありません。
…この人は透明人間?
それとも、幽霊?



展覧会前日、私たちスタッフは小泉さんとともに
会場の準備を進めていました。
作業をする小泉さんの近くに、
小学生らしき女の子が数人通りがかり、
ギャラリーに並ぶ絵を見るなり
(傍に作者がいることを知らずに)
こう言いながら通り過ぎていきました。
「えっ、めっちゃ怖い」

彼女たちがいなくなった後、
すいません、と謝ると、
小泉さんは笑って言われました。
「いや、そういう正直な感想がいいです。
むしろ、そう言われることを
狙って描いてたりするんでね」


このキャラクターは何?
そして背景に描かれたものたちは?
小泉さんに、この不思議な作品世界のことを
伺ってみました。



「(このキャラクターに)身体を描いていないのは
要するに“実体がない”ものというか。
見た人が、顔の表情とか、手の動きとか、
想像してくれるといいなと思って。
作品は、自分の絵日記みたいな気持ちで
描いているんです。
例えばこれなんか、本当にそうです」



(タイトル 「やっちまった夜」)

「ええ、夜の街に出て飲みすぎてね。
“やっちまった”という、そのままです」



(タイトル 「おもちゃとちゃうんやで」)

「これは、反戦というか、風刺が入っているんですが。
オスプレイが飛んで、その下で子どもが遊んでいる。
(星条旗を顔に巻きつけているのも)風刺ですよね」



(タイトル 「ゴメンチャイ」)

「昔、アポロ11号が月面着陸した、
その映像が実はニセモノだって噂が流れたことが
あってね。
背景の月面の後ろの方にセットを組んでる様子などを
ちょっと描いています。
黄色い帽子とランドセルは、子どもの頃という感じで」



お話を伺っていくうちに、
“絵日記”と言われた意味が、
少しずつ、わかってくるような気がしてきました。
可笑しく切なく、そして時折苦い日常に見聞きしたものを
もう一度、自分の心の中でコラージュするような作業。
例えば、ここに描かれた“アメリカ”のイメージは
小泉さんと同世代の方には特に、
切実に響くものかもしれません。


また、
「現実」「寓話」に置き換えるような
小泉さんの絵には、
実際に生きている自分たちにも捉えづらい
“今という時代”が、
不思議な形で宿っているようでもあります。


(タイトル 「アルコウ」)

「この絵を描いていた頃は、
なんだかいろいろ描きたいときでした。
なので画面にいろんなものを描きこんでいます。
出口のない迷路、シーソー、
枯れたひまわり、
チェスに凝っていたのでチェス盤と駒、
紙飛行機と、本物の飛行機…。
これは2009年の作品なんですが」


2009年にあったことを調べてみると
オバマ大統領の就任、民主党政権の発足、
新型インフルエンザの流行…
など
おおまかな印象ですが、
“物事は大きなエネルギーで動くが、
結局出口は見えていない”感じを受けます。
迷路、シーソー、チェス…。
しかし、そんな「行ったり来たり」なものの中を
中央の人物は明るく歩いていくようです。



絵に描きこまれる“時代”について、
もうひとつ、印象的なお話がありました。


(タイトル 「空に語る」)


「2~3年おきに使う色が変わったりするんですよ。
最近は、こういう青を使ったりします。
…あの、自分の出品している展覧会でも、どこか、
“流行り”のようなものがあるみたいでね。
最近は、全体的にこう“奥に抜ける感じ”、
“空間感”を感じる作品が多いと思う」



2009年の作品とは対照的な、
澄んで“奥に抜けた”ブルーの背景。
この5年の間に、小泉さんや画家の方々だけでなく
私たち全員の心の景色が
気づかないところで変化したのかもしれません。




最後に、
会場に絵を見に来られる方に向けて、
小泉さんはこのように仰っていました。
「この絵を見て、自分で物語をつくってもらえたら、
と思うんです」



ずっと小泉さんの絵を眺めていると、
最初は少し怖かった“身体のないキャラクター”が、
無機質なものたちが描かれた背景をバックに
唯一、温かくユーモアを持った存在に見えてきます。
今この時代を生きる私たちの「物語」。
会場で小泉さんの絵とともに、
それを探してみませんか?

(3月4日(火)、7日(金)、11日(火)は休館日です)




































  


Posted by わたむきホール虹 at 10:30Comments(0)美術ギャラリー