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【日野町町民会館わたむきホール虹】を
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 › わたむきホール虹ブログ › 2015年06月

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Posted by 滋賀咲くブログ at

2015年06月26日

【開催中】Yuki Tanida チョークアート展

みなさん、こんにちはface02
夏至を過ぎて、本格的な夏が目前ですね。
そして時々、“夕立”というにはかなり
激しすぎる雨が、
雷を連れて降ってきたりします。
「ゲリラ豪雨」という言葉が
すっかり定着した感のある近年。
お出かけの際には
お天気情報のチェックもお忘れなく。

さてさて。
現在、わたむき美術ギャラリーでは
本当に素敵な展覧会が開催中です。

Yuki Tanida 
チョークアート展

~印刷物のように完璧ではない、温もりある
指先で描くポップな絵~

6月18日(木)~7月12日(日)




チョークアートとはもともと、
オーストラリアで発祥した新しいアートの形。
15年ほど前から日本でも、
「黒板のようなものに上手で可愛い絵が
描いてあるお店の看板やメニュー表」

という形で
頻繁にその存在を目にするようになりました。
今回は、チョークアーティストとして活躍する
長浜市在住のYuki Tanidaさんの展覧会です。

Yukiさんのお写真はこちら。



なんと今回Yukiさんは、
会期中の毎日曜日の午後に在廊し、
作品制作の様子をライブペインティングで
見せてくださるんです。

早速、先日の6月21日(日)に
ギャラリーで絵を描いてくださったYukiさん。
通りがかる人々が、Yukiさんの作業を見ようと
次々に近づいてこられます。


(皆さんYukiさんの手元を真剣に覗かれています)

チョークアートについてのお話を
(ライブペインティングは
そのまま続けていただきながら)
ゆっくりと、Yukiさんにお伺いしました。


―この“オイルパステル”というもので描かれて
いくのですね。


Yukiさん「そうですね。これは一見普通の
クレヨンみたいに見えるんですけど、
値段は3倍近く違うんですよ。
クレヨンの形をした油彩みたいなものです」


―作品の仕上がりが綺麗なので、
パステルだけで描かれているというのが
すごいなと…。


「ぼかす部分や表面をなめらかに見せる部分は
オイルパステルで着色したあとで指を使います。
それからたとえばこういう犬の毛の質感なんかは
綿棒でぼかして表現したりしますね」



(綿棒は太さの違うものを持ってこられていました)


インタビュー中も、何人もの人がYukiさんの
周りに近づき、
絵が出来る過程を眺めていかれます。
Yukiさんは、見学の方から質問を受けられると
とても気さくに答えを返されますが、
手の動きは止めず、作品から目を上げる回数も
どちらかといえば少ないようです。
しかしそれは見る人の問いかけを拒む感じでは
全くなく、
ライブペイントのオープンな雰囲気と
作品に対する集中を両立させている、
自然な雰囲気が印象的です。


(「毛のふわふわと表面のつやつやの違いが面白いかなと、“犬とトマト”を描こうと思って」とのこと)

―1枚の作品を仕上げるのに、どれくらいの時間が
かかるものなのですか?


「作品の大きさにもよりますね。あと、デザインや
構図を決めるのが一番大変ですね。
それさえ決まって色を塗りだせば、
今描いているものぐらいの大きさなら
3時間ぐらいでできてしまいます。
…描いてると集中するので、3時間が30分に
感じたりするんですよ。
『あ、もうこんなに時間が経ってた?』っていう風に」


―子どもの頃に何かに集中していたとき、
そんな時間感覚があったような気がします。


「あ、そうそう。きっとそんな感じだと思います」



さて、現在“チョークアーティスト”として、
お店の看板や結婚式のウェルカムボード、
ペットの姿を作品にしてほしいという
依頼などを受け、作品を制作している
Yukiさんですが、
過去には大学で建築やインテリア、
カラーデザインを学んだのち、建築会社に就職。
その後はカフェの経営を、ごく最近まで
続けられていたそうです。


(経営されていたカフェで実際に使われていたチョークアートも、今回展示されています)

「でも、絵はずっと、物心ついたときから好きで
広告の裏なんかにしょっちゅう描いてたんですね。
子どものころの卒業文集には
“絵描きさんになる”って書いてたみたいです」


―チョークアートに出会われたのは、
カフェの経営がきっかけだったのですか?


「いや、もう普通にテレビで紹介されて
いたのを見て。
カフェとはまた関係なく、絵として、これを
やってみたいなと思って」





自分のお店を演出するための手段としてではなく
チョークアートそのものに魅せられ、
やがてYukiさんはアーティストとして
独立する道を選びます。

過去にYukiさんを通じ、作品制作を
体験して以来、
チョークアートのファンになったという方々が
会場にいらしてくださったので、
チョークアートが持つ魅力を伺ってみました。

「それまでチョークアートを見たことが
なかったので、
見た目がリアルなのに驚きました。
チョークアート制作を体験してから、
町の色々なチョークアートに
目がいくようになりましたね」




Yukiさん「チョークアーティストによって
   絵の個性も違うんですよね」


「自分では恐れ多くて、
それ以降は描いてないですけど」

―“恐れ多い”とは…。

「あの、すごく難しいんですよ。
油絵や水彩ならパレットの上で調色
(色の調子を見る)することが
できますが、
チョークアートは直接作品の上で
色を混ぜないといけないんです。
素人には難しい。
だから、(アーティストのことを)
尊敬しますよね」



Yukiさん「慣れればそんなに
難しくないんですが…。
やってると楽しいんですよ。本当に楽しい」



(これは・・・?そうです。アメリカの某有名メーカーのスープ缶。もちろんあのウォーホルのパロディーですが、よく見るとYukiさんならではのエッジのきいたアレンジが)


色鮮やかで、描くものをリアルに表現できる
チョークアートには、
人を明るい気分にする力があるのか、
今回の展示を見学されるお客様の表情は、
どの年齢層の方をみてもひときわ楽しそうです。
贈り物や看板としてのチョークアートが
人気の訳を肌で感じるような気がします。


Yukiさんにとって“チョークアートという仕事” とは
いったいどのようなものなのでしょう。

「お客さんの受注で描くということは、
“苦手なこと”もしないとダメなんです。
 自分だったら描かないものも描くことがある。
 それが自分の幅を広げてくれるんです。
 そのことにとても感謝しています」


「よく、好きなことが仕事になってしまうと
楽しくなくなるって言いますよね。
これは“仕事になっても楽しい”んですよ」





“ただ、私は描くのが好きなんです”
“今一番思っているのは、
もっと上手くなりたいということ。
そして(チョークアートが)
すごく楽しいということです”

質問をすると、Yukiさんは必ず
一度考えてから
率直で無駄のない言葉を
返してくださいました。

私の主観なのですが、
チョークアートという方法を選ばれる方は
「人を幸せな気持ちにする才能」のようなものを
持っておられるのではないかと感じました。
そして、その才能を持っている方々は
職業や年齢などは様々でもどこか共通して
Yukiさんのように、率直でシンプルな言葉を
選ばれるような気がします。




最後に、
来場される方へメッセージをいただきました。


「私は初めてチョークアートを見たとき、
こんなにカラフルな絵があるのかと衝撃を受けて、
やってみたいと思いました。
皆さんにも、私がそうだったように、
初めて見た瞬間の驚きを
ぜひ感じていただきたいです」



友人と来ても、家族と来ても、夫婦で来ても、
きっと楽しい時間を過ごせる展覧会です。
Yukiさんの手元で絵が生まれる魔法の瞬間も
ぜひご覧ください。

(6月30日(火)7月7日(火)は休館日です)


(Yukiさんのスタジオのマスコットキャラクター。作品にも登場しているスープ缶の上にて常時在廊中です!)







  


Posted by わたむきホール虹 at 14:23Comments(0)美術ギャラリー

2015年06月01日

【開催中】鳥本 潔 絵画展

みなさん、こんにちはkao05
日によっては、街をゆく人の姿が
タンクトップにビーチサンダルで
頭にはつばの広い帽子・・・と
もう夏サーフィンとしかいえない眺めになる今日この頃。
このあとに梅雨が来るなんて
何だか実感がわきません。

家の中が暑すぎて疲れる日には
気軽に来られる最高の避暑地、
わたむきホール虹の美術ギャラリーにて
美しい作品と静かに向き合うひとときを
お過ごしください。
新しい展覧会が始まりました。

鳥本 潔 絵画展
~時代とともに
変化していった絵画~

5月28日(金)~6月14日(日)




美術大学で絵を学ばれた後、
印刷会社でデザイン制作のお仕事をされ
その会社を退職された現在も画家として
活動を続けておられる
鳥本潔(とりもと きよし)さんの絵画展です。
鳥本さんのお写真はこちらです。




また、今回は賛助出品として、
日本画家の山田水雲さんによる
味わい深い書の作品が4点展示されています。



さて、繰り返しになりますが
今回の展覧会タイトルは
「時代とともに変化していった絵画」
というもの。
この言葉の意味は、
まず会場に足を踏み入れていただけば
お分かりになると思います。



制作年代によって、使用されている技法も違えば
画風そのものも大きく異なる様々な絵が
1人の画家の手による作品群として
展示されているからです。


(鳥本さん)「よく、『それぞれ違う人の作品やろ』って言われますよ」


鳥本さんの画風の変遷としては
大きく3つの時代があるようです。
まず1つめが、美術大学時代。
そして、デザイン制作をされていた時代。
最後に、現在。


変化を繰り返してこられた
それぞれの画風のお話を
ゆっくりとお楽しみください。



―こちらが、美大の頃の作品ですね―




「この頃は油絵をやっていました。
自分の好きな色を出すために、
ほとんど格闘していたような感じでしたね」



中学生の頃、水彩絵の具であまり水を使わず
絵を描いていたら
「油絵のようになっている。(画風が)ませてる」
と言われたことがあるという鳥本さん。
美大ではその油絵に思いきり取り組む日々を
過ごされたようです。


―色が渋いというか、何重にも重なった末の
色、という感じですよね―



「この色になるまでにね、
いっぱい絵の具を使ってるんですよ(笑)
もうこの時は必死でやってました」






絵に近づいてみると、
重ねられた絵の具の量と、筆やナイフの跡に
「格闘」の痕跡を見ることができます。


やがて大学を卒業される際、
鳥本さんが直面したのが、
就職の問題でした。


「ちょうどオイルショックの
時代にあたりまして
就職がないわけです。
美大出身で出来る仕事というので
ある印刷会社のデザイン制作の
仕事に就いたのですが」



その時代の作品がこちら。




「デザインの仕事は、23,4歳から
35、6歳までやっていました。
油絵からアクリルに転向したのは
この頃です。
この時代の間にデザイン展を
4~5回やりました」



―この頃の作品は先進的というか
挑戦的で大胆でもありますね―



「いや、この頃は子どももいたし、
デザインで食べていかなければ
いけませんでしたから必死でした。
当時の社長も、作品の出来で
仕事を評価する人でしたので。
またデザインは、それまでやっていた
洋画とはまったく違うものでした。
絵をやっていた分、何とかなると
甘く見ていた部分があったので、
大変でしたね」




(「道」をテーマにデザインを求められた際に制作されたもの。京都の「道」と、芸の「道」に励む芸妓さんが画面に配されています。)


鳥本さんがデザイン制作をされていた時代、
日本はバブルがもたらす好景気に沸いていました。
大胆で、遊び心を感じる作品の中に、
あの頃独特の空気感を
お感じになる方もいらっしゃるのでは
ないでしょうか。



最後に、10年ほど前から現在までの
作品についてお伺いしました。
今、鳥本さんは、日本画のモチーフに
心を寄せられているそうです。
今回、会場に訪れる人々の目を、
ひときわ惹きつけている作品がこちら。




「次女の成人式の姿です。
これは実際に着ていた着物とは
違うんですけれども。
着物のサンプルの中にあった柄で」


―色のトーンが明るく、軽くなっていますね。
構図に感じるデザインの感覚が、上品で素敵です―



「赤をこんなに強烈に描いたのは
はじめてですね。
成人式のときの娘の印象が強かったもので。
あと、今もアクリルを使っているのですが
もしデザインをやっていなかったら
アクリルを手に取ることはなかったです」



近年描かれることが多いという
「和」のモチーフについては
“(人物画なら)和装の微妙な色味を
表現するのが難しく、苦労します”

仰る鳥本さんですが、
“出したい色が出るまで格闘していた”
油絵の時代と比較すると
色が迷いなく、軽やかに選ばれている印象です。
また、構図も自然でありながら
インパクトの強いものになっています。



―学生時代、デザインの時代、そして現在と
絵をお描きになっている時の気持ちに
何か変化はありましたか?-



「うーん、今のほうが自由に表現できますね。
学生の頃は、与えられた課題を表現していました。
デザインをやっていた頃は、
テーマに沿ったものを表現しなければなりませんでした。
今は、自分の描きたいものを描けますから」



―手法や画法については、今の形が
今の鳥本さんにぴったり合ったものと
いうことですか―



「そうですね。今は主観がこういう絵の形です」




鳥本さんのお話の中で、新鮮に感じたのは
「画風や手法が変わること自体を
特別なこととは思われていない」
点でした。
それよりも、どの時代のお話をされる時にも
“必死だった”“格闘していた”と言われるのを
聞いているうちに
絵の形の変遷がそのまま、鳥本さんが
絵を描きながら手探りで探し当ててこられた
誠実な人生の道筋そのものに見えてきました。






最後に、来場される方にメッセージをいただきました。

「いろいろな作品がありますけれども
本当に、私1人が描いているものですのでね(笑)
いろいろな形の絵を、お楽しみいただけたらと
思います」



今回の展覧会、もちろん全ての年代の方に
お越しになっていただきたいのですが、
人生の忙しくも充実した時期をひと巡りされた
「大人」の方の目には、より作品が味わい深く
映るのではないかと思います。
ご夫婦で、ご友人同士で、またお一人でじっくりと
鳥本さんの絵をご覧になってみてください。



(賛助出品の山田水雲さんの書。精緻な筆で描かれる日本画とはまた趣のちがう、見ていると心がやわらかくほぐれるような作品です)


(6月2日(火)・6月5日(金)・6月9日(火)は休館日です)  


Posted by わたむきホール虹 at 17:40Comments(0)美術ギャラリー