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2014年12月12日

【開催中】中島陽子 書道展 墨を彩る~あるがままに~

みなさん、こんにちはface01
前回の更新からかなり日が空いてしまい、
どことなく後ろめたい気持ちでこの文章を綴っていますkao08
それにしても、この寒さ!
みなさんインフルエンザには気を付けてくださいね。

さて、ブログを更新しなかった間のわたむきホール虹は
停止していたわけではありません。
ひとつのステージが終わると、また次のステージへ。
文化ホールである限り終わることのないサイクルを
今年もずっと続けてきました。
そんなわたむきホール虹、そして、
一年間立ち止まることなく頑張り続けてきた
すべての皆様にぴったりの展示が
美術ギャラリーにて開催中です。


中島陽子 書道展
墨を彩る~あるがままに~
12月11日(木)~12月28日(日)
【開催中】中島陽子 書道展 墨を彩る~あるがままに~



東近江市在住の書道家として活躍される
中島陽子さんの展覧会です。
書道家として、地域に溶け込んだ活動をされてきた中島さん。
有名な八日市の百畳の大凧(!)を
中島さんの書が飾ったこともあります。

中島さんのお写真はこちら。

【開催中】中島陽子 書道展 墨を彩る~あるがままに~

ブログ担当スタッフの私は、地域の書道家の方として
以前から中島陽子さんのお名前を知っていましたが、
お会いするのははじめてです。
どんな方だろう・・・と思ってお話を伺ったそのお人柄は
こう表現して差支えなければ、大変にチャーミングでした。

ご自身の作品を説明されるその合間に、何度も
「ああ、変なことを言ってしまったかも。
書かないでくださいね~」

とおっしゃるところなど・・・。
(※念のため、何も変なことは言われていませんでした)

まず、その中島陽子さんのチャーミングなお人柄を
思っていただきながら、
以下のレポートをお読みいただければ嬉しいです。
では、さっそくどうぞ!


展示会場に入ると、最初に目を引くのが
この大作です。

【開催中】中島陽子 書道展 墨を彩る~あるがままに~


(中島さん)「これは『一陽来復(いちようらいふく)』と書いてあります。
悪いことがあっても、今度は良いことがありますようにという、陰と陽の考えかたですね。赤と黒で陰陽を表してみました。
新年に向けて、リセットしましょうという気持ちで」

リセット。いいですね。
下を向いていた心も前を向くことを思い出しそうです。
新年を前に、これこそまさに「言祝ぎ(ことほぎ)」。
言葉での祝福が私たちを出迎えてくれるような作品です。

中島さんは今回の展示に、
新たな年を迎えようとする今の時期にふさわしい
作品を選んでくださいました。

【開催中】中島陽子 書道展 墨を彩る~あるがままに~

『早春の海に船を出して、鯛を見た』
茨木のり子さんの“鯛”という詩が書かれた作品です。
書を見るだけで、
何かいいことがありそうな気持ちになります。
そして作品全体から、紛れもない春の海の気配を
感じることができるのが不思議です。

【開催中】中島陽子 書道展 墨を彩る~あるがままに~
 
こちらの写真、中央の作品は、
中国の漢詩を書にしたもの。
作者が“宮殿の景色”を見て感銘を受け
その様子を
「宮殿や楼閣は建物が複雑にめぐり
草や木が盛んに生い茂っているので
高く険しい山や深い谷のよう。
その勢いは五色の雉(きじ)が
飛んでいるように驚く」
と表現している詩なのだそうです。
これもユニークで華やかで、新年を祝うのには
ふさわしい作品ですね。


さて、ここまで中島さんの作品を見てきて
気づいたことがひとつ。
作品によって、書体や表現方法が
ひとつひとつ違うのです。
“書”とは、こんなに自在で豊かな表現手段なのかと
驚きを覚えます。

【開催中】中島陽子 書道展 墨を彩る~あるがままに~
(ここ日野町が“蒲生野”であることにちなみ、額田王の有名な「あかねさす…」の歌を出展してくださいました。
先ほどの「宮殿」の書とは表情がまったく違う、女性の手で綴られた恋文にふさわしい書体)


―書体が作品ごとに違いますね。

「そうですね。作品展をするときには
そのほうがいいかな、と。
ひとつひとつは稚拙なものなのですが、
それでも、見ていただく方にとっては
色々あったほうが楽しんでいただけるのでは
ないかと思いまして」


中島さんが言われるとおり、
私のように、普段ほぼまったくと言えるほど
書に接することがない者にとっては、
ギャラリーが本当に新鮮で楽しい空間に
感じられます。

「あと…作品展としてお見せするかぎりは
並べて見て心地いいレイアウトのバランス、
全体にまとまってるかな、ごちゃごちゃして
ないかな、とか、そういうことは考えますね」

【開催中】中島陽子 書道展 墨を彩る~あるがままに~

こちらの作品は、『雪月花』。

「“雪月花”という言葉はオールシーズン使えるので…。
これは、屛風屋さんに『何か書いて』と言われて
書いたんですよ。
今は旅館の玄関に置いてもらったりしています」


―この屛風で迎えられたら、外国人の方なんか
喜ばれるのではないですか?

「そうですね。外国の方に喜んでもらってるみたいです。
“書”って、海外の方には意味はわからなくても
何か美しいとかかっこいいとか思ってもらえる
みたいですね」


中島さんとお話ししていると、
“書”というものが急に自分と親しくなったような
(まったく心得はないのに)、そんな気持ちになります。
「いろいろな人に喜んでもらえる書でありたい。
だからあんまり難しい意味をこめたりしない」

そうおっしゃる中島さんの書の世界は、
それを見る全ての人に優しく開かれているようです。

【開催中】中島陽子 書道展 墨を彩る~あるがままに~
(手前は金子みすずさんの詩、奥は草野心平さんの詩だそうです)


書に向かいはじめて30年という中島さん。
書の魅力とは中島さんにとって何なのでしょうか。

「うーん…。気が付けば30年という感じなんですよ。
書をやっていることで、色々なご縁をいただいて、
書がいつの間にか自分の中のツールに
なっていたんですね。
自分の人生が何もしていないよりは広がったし、
地域貢献のようなこともさせていただいています」


なかなか展覧会に出しても、
賞をいただいたりすることはできないんですけど・・・
と、中島さんは笑われますが、
“地域の書道家”として町に美しい書を届け、
様々な人の目を喜ばせる中島さんの在り方は、
芸術家として、確かな幸福の形を築いていらっしゃる
ように思えます。
“書を通じて自然に人や町とつながること”
それは、無理やり手に入れようとしても、
決して手に入らない
貴重な幸福の形なのではと感じました。

【開催中】中島陽子 書道展 墨を彩る~あるがままに~


書の魅力について、最後に中島さんは
大切なことを語ってくださいました。

「今回の展示のタイトルは
“墨を彩る~あるがままに~”としていますが
“彩る”ということ、これが、
私が書で目指していることなんです。
墨なのに、“彩る”という、
この意味合いを、感じてもらえるかな?
感じてもらえるといいな、と思って
作品を制作しました。
これは、いくら言葉で説明しようとしても
核心に迫るほど伝えたいことから離れてしまう
ことなんです。
だから、会場に来て、様々な書を
実際に見ていただければと思っています」


ほんの200年ほど前まで、
日本では、言葉はほとんどすべて
筆と墨を用いて書かれていました。
現在では遠い感覚になってしまったようですが、
呼吸を整え、筆で文字を書くとき、
その字には詩や歌や色彩のようなものが
書き手の意図をこえ、宿ってしまうことが
当たりまえだったのかもしれません。
そんな書の魅力を、ぜひ会場にて
たっぷりと感じていただきたいと思います。

(12月16日(火)、24日(水)25日(木)は休館日です)

―お詫び―
2014年11月1日発行の当ホール情報誌
「虹のたよりvol.148」におきまして
「ギャラリーインフォメーション」欄で紹介した
中島陽子さんのお名前の表記が「中島よう子」と
なっておりました。
お詫びして訂正いたします。



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Posted by わたむきホール虹 at 18:04│Comments(0)美術ギャラリー
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