プロフィール
わたむきホール虹
わたむきホール虹
【日野町町民会館わたむきホール虹】を
管理運営している、日野町文化振興事業団です。
各イベントや美術ギャラリー、館内施設の
ご案内&ご報告などを発信していきます。
アクセスカウンタ
QRコード
QRCODE
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 8人
Information
ログインはこちら
 › わたむきホール虹ブログ › 美術ギャラリー › 【開催中】鳥本 潔 絵画展

2015年06月01日

【開催中】鳥本 潔 絵画展

みなさん、こんにちはkao05
日によっては、街をゆく人の姿が
タンクトップにビーチサンダルで
頭にはつばの広い帽子・・・と
もう夏サーフィンとしかいえない眺めになる今日この頃。
このあとに梅雨が来るなんて
何だか実感がわきません。

家の中が暑すぎて疲れる日には
気軽に来られる最高の避暑地、
わたむきホール虹の美術ギャラリーにて
美しい作品と静かに向き合うひとときを
お過ごしください。
新しい展覧会が始まりました。

鳥本 潔 絵画展
~時代とともに
変化していった絵画~

5月28日(金)~6月14日(日)

【開催中】鳥本 潔 絵画展


美術大学で絵を学ばれた後、
印刷会社でデザイン制作のお仕事をされ
その会社を退職された現在も画家として
活動を続けておられる
鳥本潔(とりもと きよし)さんの絵画展です。
鳥本さんのお写真はこちらです。

【開催中】鳥本 潔 絵画展


また、今回は賛助出品として、
日本画家の山田水雲さんによる
味わい深い書の作品が4点展示されています。



さて、繰り返しになりますが
今回の展覧会タイトルは
「時代とともに変化していった絵画」
というもの。
この言葉の意味は、
まず会場に足を踏み入れていただけば
お分かりになると思います。



制作年代によって、使用されている技法も違えば
画風そのものも大きく異なる様々な絵が
1人の画家の手による作品群として
展示されているからです。


(鳥本さん)「よく、『それぞれ違う人の作品やろ』って言われますよ」


鳥本さんの画風の変遷としては
大きく3つの時代があるようです。
まず1つめが、美術大学時代。
そして、デザイン制作をされていた時代。
最後に、現在。


変化を繰り返してこられた
それぞれの画風のお話を
ゆっくりとお楽しみください。



―こちらが、美大の頃の作品ですね―

【開催中】鳥本 潔 絵画展


「この頃は油絵をやっていました。
自分の好きな色を出すために、
ほとんど格闘していたような感じでしたね」



中学生の頃、水彩絵の具であまり水を使わず
絵を描いていたら
「油絵のようになっている。(画風が)ませてる」
と言われたことがあるという鳥本さん。
美大ではその油絵に思いきり取り組む日々を
過ごされたようです。


―色が渋いというか、何重にも重なった末の
色、という感じですよね―



「この色になるまでにね、
いっぱい絵の具を使ってるんですよ(笑)
もうこの時は必死でやってました」



【開催中】鳥本 潔 絵画展


絵に近づいてみると、
重ねられた絵の具の量と、筆やナイフの跡に
「格闘」の痕跡を見ることができます。


やがて大学を卒業される際、
鳥本さんが直面したのが、
就職の問題でした。


「ちょうどオイルショックの
時代にあたりまして
就職がないわけです。
美大出身で出来る仕事というので
ある印刷会社のデザイン制作の
仕事に就いたのですが」



その時代の作品がこちら。

【開催中】鳥本 潔 絵画展


「デザインの仕事は、23,4歳から
35、6歳までやっていました。
油絵からアクリルに転向したのは
この頃です。
この時代の間にデザイン展を
4~5回やりました」



―この頃の作品は先進的というか
挑戦的で大胆でもありますね―



「いや、この頃は子どももいたし、
デザインで食べていかなければ
いけませんでしたから必死でした。
当時の社長も、作品の出来で
仕事を評価する人でしたので。
またデザインは、それまでやっていた
洋画とはまったく違うものでした。
絵をやっていた分、何とかなると
甘く見ていた部分があったので、
大変でしたね」


【開催中】鳥本 潔 絵画展

(「道」をテーマにデザインを求められた際に制作されたもの。京都の「道」と、芸の「道」に励む芸妓さんが画面に配されています。)


鳥本さんがデザイン制作をされていた時代、
日本はバブルがもたらす好景気に沸いていました。
大胆で、遊び心を感じる作品の中に、
あの頃独特の空気感を
お感じになる方もいらっしゃるのでは
ないでしょうか。



最後に、10年ほど前から現在までの
作品についてお伺いしました。
今、鳥本さんは、日本画のモチーフに
心を寄せられているそうです。
今回、会場に訪れる人々の目を、
ひときわ惹きつけている作品がこちら。

【開催中】鳥本 潔 絵画展


「次女の成人式の姿です。
これは実際に着ていた着物とは
違うんですけれども。
着物のサンプルの中にあった柄で」


―色のトーンが明るく、軽くなっていますね。
構図に感じるデザインの感覚が、上品で素敵です―



「赤をこんなに強烈に描いたのは
はじめてですね。
成人式のときの娘の印象が強かったもので。
あと、今もアクリルを使っているのですが
もしデザインをやっていなかったら
アクリルを手に取ることはなかったです」



近年描かれることが多いという
「和」のモチーフについては
“(人物画なら)和装の微妙な色味を
表現するのが難しく、苦労します”

仰る鳥本さんですが、
“出したい色が出るまで格闘していた”
油絵の時代と比較すると
色が迷いなく、軽やかに選ばれている印象です。
また、構図も自然でありながら
インパクトの強いものになっています。



―学生時代、デザインの時代、そして現在と
絵をお描きになっている時の気持ちに
何か変化はありましたか?-



「うーん、今のほうが自由に表現できますね。
学生の頃は、与えられた課題を表現していました。
デザインをやっていた頃は、
テーマに沿ったものを表現しなければなりませんでした。
今は、自分の描きたいものを描けますから」



―手法や画法については、今の形が
今の鳥本さんにぴったり合ったものと
いうことですか―



「そうですね。今は主観がこういう絵の形です」




鳥本さんのお話の中で、新鮮に感じたのは
「画風や手法が変わること自体を
特別なこととは思われていない」
点でした。
それよりも、どの時代のお話をされる時にも
“必死だった”“格闘していた”と言われるのを
聞いているうちに
絵の形の変遷がそのまま、鳥本さんが
絵を描きながら手探りで探し当ててこられた
誠実な人生の道筋そのものに見えてきました。


【開催中】鳥本 潔 絵画展



最後に、来場される方にメッセージをいただきました。

「いろいろな作品がありますけれども
本当に、私1人が描いているものですのでね(笑)
いろいろな形の絵を、お楽しみいただけたらと
思います」



今回の展覧会、もちろん全ての年代の方に
お越しになっていただきたいのですが、
人生の忙しくも充実した時期をひと巡りされた
「大人」の方の目には、より作品が味わい深く
映るのではないかと思います。
ご夫婦で、ご友人同士で、またお一人でじっくりと
鳥本さんの絵をご覧になってみてください。


【開催中】鳥本 潔 絵画展
(賛助出品の山田水雲さんの書。精緻な筆で描かれる日本画とはまた趣のちがう、見ていると心がやわらかくほぐれるような作品です)


(6月2日(火)・6月5日(金)・6月9日(火)は休館日です)

同じカテゴリー(美術ギャラリー)の記事画像
【開催中】福山敬之 日本画展
【開催中】福田貞一 切り絵&水彩スケッチ展
【開催中】薮田和義 スケッチ画展
【開催中】近藤やよい 絵画展
【開催中】澤田浩明展
【開催中】下川まち子 布アート展
同じカテゴリー(美術ギャラリー)の記事
 【開催中】福山敬之 日本画展 (2016-06-11 16:16)
 【開催中】福田貞一 切り絵&水彩スケッチ展 (2016-05-21 17:07)
 【開催中】薮田和義 スケッチ画展 (2016-04-10 13:26)
 【開催中】近藤やよい 絵画展 (2016-03-19 22:23)
 【開催中】澤田浩明展 (2016-02-29 14:44)
 【開催中】下川まち子 布アート展 (2016-01-17 13:40)


Posted by わたむきホール虹 at 17:40│Comments(0)美術ギャラリー
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。