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2014年04月13日

【開催中】須田久仁子 ボタニカルアート展

みなさん、こんにちはface01face01

今年の桜も本当に綺麗でしたねicon12
今は散っていく様を眺める贅沢を味わう時、でしょうか。

しかし今、わたむきホール虹の美術ギャラリーでは
初夏を待たずして、30種類近くもの美しいバラに
出会うことができるんです!
現在開催中の新しい展覧会はこちらpoint_7

須田久仁子 ボタニカルアート展
~薔薇の香りにつつまれながら
 描いたボタニカルアート展~

4月10日(木)~4月27日(日)

【開催中】須田久仁子 ボタニカルアート展

ボタニカルアーティスト、そしてイラストレーターの
須田久仁子さんによる、
“びわ湖大津館のバラ”を描いた
特別なボタニカルアート展です。

須田久仁子さんはこの方です。
【開催中】須田久仁子 ボタニカルアート展

まず、なぜ今回の出展作品が
“びわ湖大津館のバラ”を描いたものなのか
簡単にご説明します。

大津市柳ヶ崎の琵琶湖沿いに佇む「びわ湖大津館」。
由緒ある旧びわ湖ホテルを改装した美しい施設は
大津に暮らす方々の憩いの場所です。

この施設につくられたイングリッシュガーデンは、
ガーデンデザイナー、ケイ山田さんの設計による
バラがメインの本格的な庭園。
しかし、イングリッシュガーデンのバラにとって
関西の夏の湿気と暑さは過酷であったこと、
また、庭園の管理業者が交代することなどが重なり、
多くのバラが庭に紛れ込んで所在がわからなく
なってしまったそうです。


この庭園とバラが大好きだった須田さんは心を痛め、
バラを一つ一つ探してはその絵を描き、
一種類ずつ名前と詳細を調べ、庭園のどのエリアにどの
バラがあるのかまとめた本を、昨年出版されました。

【開催中】須田久仁子 ボタニカルアート展

その際絵を制作し、名前を調べたバラの数は
1年ほどの制作期間でなんと150種類! face08
今回の展示では、その中から28点が選ばれています。
そして今回のインタビューは、人がバラに、そして自然に
魅せられることをめぐる、
不思議で美しいお話になりました。

【開催中】須田久仁子 ボタニカルアート展
(「パパメイヤン」というバラ。作出した人物の祖父の愛称が名前の由来)



まず、須田さんをボタニカルアート(植物画)の道へ
向かわせたものは、
あのファーブルの存在だったそうです。

「『ファーブル昆虫記』が子どもの頃、一番好きな
 本だったんですね。
 あそこまで虫をじっと見て観察する熱心さが
 大好きで、読むとわくわくしていました」


“ボタニカルアート”とは、 “科学”“アート”
両面を併せ持った植物画のこと。
写真が生まれる前の時代、
植物の姿を図譜として残すのは、植物の研究において
大変重要なことでした。
写真が普及した現在は、植物の姿をじっくり観察して
丁寧に描く、
「植物の肖像画」として親しまれているようです。

「ボタニカルアートをやって、バラのことをより、
知ることができたんです」



【開催中】須田久仁子 ボタニカルアート展
(「エバーゴールド」本物を見てみたい気持ちになります)

しかし150点ものバラの絵を、
わずか1年余りの間に描くというのは、
本当にバラがお好きでも大変な作業に違いありません。
描かれた須田さんはもちろん凄いのですが、
人をそこまで突き動かすバラの力、
それも同じだけ凄いような気がします。

「みんなに、『よく150種類も描いたね』と
言われるんですけれどね(笑)
…バラの力って、本当に凄いんですよね。
バラって何なんでしょう。」


その“バラの力”をもっとも端的に物語るのは
現在のバラの種類の数です。
バラの花の形は、もともとは原種の9通り
しかなかったのだそうですが、
交配に交配が進んだ現在となっては
なんと3万6000種類(!!)ものバラが
この世に存在するんだとか。
そのことはつまり、バラの交配に熱を上げる人々が
いかにたくさんいたかということを意味します。


「みんな、自分だけのバラを
作ってみたかったんだと思うんですね
そのバラに大切な人の名前をつけたいと思ったり」



【開催中】須田久仁子 ボタニカルアート展
(「パットオースチン」作出者デイビッド・オースチンの妻の名がついたバラ。温かく賢く、周りをほっとさせるような女性だったのかも)


昔から人々に愛され、人を魅了し続けるバラ。
そして須田さんの描くバラの姿は、繊細かつ温かく
何か“誠実さ”のようなものを湛えた姿にも見えます。
科学的な側面のあるボタニカルアートという手法は、
あまり作者の作風が表に出ないのが良さなのかとも
思っていましたが・・・。


「私は、申し訳ないのですが、
 バラの周りの『空気感』を描きたいといつでも思って
 いるんです。
 夏のバラと、秋のバラでは周りの空気が変わります。
 バラを図鑑のようには描きたくないんです。
 綺麗に咲こうとしているその姿を
 ボタニカルアートとして、しっかり見て描きたいんです」


-“空気感”ですか…。

「はい。…バラを探して歩いていると、
 こう、バラが『描いて』と言っているんですね。
 私にはそう感じられるんです」


【開催中】須田久仁子 ボタニカルアート展
(「エンプレス ジョセフィーヌ」ジョセフィーヌはナポレオンの最初の妻。バラを愛してやまないことで有名な女性でした)

このお話をお伺いしてまず思い出したのは、
以前に野草を描いた日本画を出展してくださった
野本佳子さんのことです。
野本さんも
「野草に目をやると『描いて』と言っている」
仰っていました。


そして、もうひとつ頭に浮かんだのは、
花人の川瀬敏郎さんがいけられる花の姿。
インタビューの後、川瀬さんの書籍や
過去にお話されたことを調べてみると、
ある講演にて、このようなことを仰っていました。


「みなさんに一番感じてほしいのは、
空気感が違うっていうことを思っていただくこと。
花がある空間が、清らかな…聖なる空間のような
ところっていうのを感じていただけたら」


「我々がずっと自然を眺めていると、
自然から呼び止められたような気持になることが
しょっちゅうあるんですね。
例えば枝なんかでもヒューっと出てると
『こっち来て!』という感じ。< 中略 >でも、その
ようにして呼び止められているというか、語りかけ
られている…」

(「フェリシモ神戸学校 レポート」 より引用)

植物に対して深いまなざしを持つ方々が、
それぞれ別の場で、同じことを語られています。
それはきっと特別な能力ではなく、
植物の前でしっかり足を止め、
自分の目できちんと草花を見ることを繰り返せば
植物は私たちと様々なものを
やりとりしてくれるのかもしれません。


【開催中】須田久仁子 ボタニカルアート展
(「ロサ・ルゴサ・アルバ」日本独自の自生バラのひとつ。花のあとは沢山の実をつけるそう)

「当時は気づかなかったけど、今ならわかります。
 バラを描くことで、バラに勇気をもらっていた。
 だから150点もの絵を描くことができたんです」

須田さんはそう語ります。
そして花開いた完璧に美しいバラだけでなく、
盛りを過ぎたバラや、枯れたバラの行く末も
見つめていたいと仰います。


最後に、来場者の方にメッセージをお願いしたところ
こんな言葉をいただきました。
「バラって可愛いです。
派手だとか、皆さんバラに対して様々なイメージを
お持ちだと思いますが、
そのイメージを取って、ご自分の目でバラをご覧に
なったとき、いろいろな魅力に気づいていただける
のではないかと思います。
私も最初はバラにイメージがあったんですが、
今は、そういう見方ができるようになったので」


バラも人間もいつかは命を終える生命体。
イメージや先入観に左右されない、
本当のその人の目で自分を見てもらえるとしたら、
人間にとっても、それはかけがえのないことですよね。
美しく、貴重なバラの絵の数々。
できればお時間の許す限り、
ゆっくりとご覧いただきたいと思います。

【開催中】須田久仁子 ボタニカルアート展
(「ブルームーン」青いバラの花言葉、昔は『不可能』でしたが、青いバラが誕生し続ける現在は『夢叶う』なのだそうです)

(4月15日(火)・22日(火)は休館日です)


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Posted by わたむきホール虹 at 13:30│Comments(0)美術ギャラリー
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